コールドケース 迷宮事件簿 回想シーンがノスタルジーを誘う  Cold Case

海外ドラマ

★直筆サイン★キャスリン モリス★Kathryn Morris ●ボーントマフォーク (2015) ●ザパーフェクトガイ (2015) ●コールドケース (2003~2010)[TV Series] ●ペイチェック (2003) ●マイノリティリポート (2002)

 

原題の“コールドケース”(Cold Case)とは、いわゆる未解決事件のこと。アメリカ・フィラデルフィアを舞台に、事件の迷宮入りを阻止すべく、奔走する殺人課刑事たちの姿を描いた、1話完結のサスペンスドラマ。製作総指揮は、『CSI:科学捜査班』シリーズなどを手掛けたヒットメーカーコンビ(ジェリー・ブラッカイマー&メレディス・スティーム)で、2003年9月よりアメリカCBSネットワークで放送開始。いままでの刑事ドラマとはひと味違う演出方法や、凝った回想シーンの映像などが支持を集め、シーズン2では、早くも全米視聴者数が1500万人を突破。シーズン7まで続く、長寿ドラマとなりました。2010年5月、本放送終了。
未だ犯人が逮捕されないままの殺人事件や、消息がわからないままの行方不明者……。時効がないアメリカで、日々、そうした事件に向き合っているのが、女性刑事リリー・ラッシュ(キャスリン・モリス)を中心に、大柄なアフリカンアメリカンの刑事ウィル・ジェフリーズ(トム・バリー)や、恰幅のいいニック・ヴェラ(ジェレミー・ラッチフォード)らベテランが脇を固める、未解決事件専従捜査班の面々。ドラマは、被害者が何者かによって殺害されるシーンなど、事件発生当時のフラッシュバックから始まります。時を経て、現在。身元不明の白骨化した遺体が発見されたり、新たな証拠がもたらされたりしたことなどをきっかけに、メンバーたちが、捜査を開始。遺族や、被害者を知る関係者らから地道に話を聞き出し、眠っていた事件を少しずつ紐解いていく、というのが主なパターン。話を聞くシーンで、事件当時の彼らの姿が、時にはモノクロ、時にはセピア映像など、時代によって色調を変えてプレイバックされるのが、このドラマ最大の特徴です。ラストは、“解決してくれて、ありがとう”と語っているかのような、在りし日の被害者が佇む映像。そして、被害者の名とともに、“closed=解決”の文字が記されたボックスが、倉庫の棚に収められて終わるのが、お約束。
こうした未解決事件にスポットをあてた刑事ドラマは、日本でも放送されていて、回想シーンがはさまれることもしばしば。が、特筆すべきは、そのクオリティの高さ。BGMやファッション、社会風俗、世相などを忠実に再現した、非常に凝った映像で、見事に時代を映し出しています。特に、BGM。ザ・テンプテーションズにエルトン・ジョン、ブルース・スプリングスティーン、マドンナ……。60年代のオールディーズや70年代、80年代のヒット曲がとにかく贅沢に使われていて、一気にその時代に誘われる。そして、なにより、容疑者、関係者の変貌ぶり。交互に映し出される現在と過去の姿は、彼が、彼女がどう生きてきたのかを、如実に物語っているのです。
事件を捜査する刑事たち自身が、深い悲しみや苦しみを抱えていることも、このドラマのもうひとつの特徴で、随所に彼らのバックグラウンドがちりばめられています。特に、主人公のリリーは、アルコール中毒の母親や、問題を起こしてばかりの妹、幼いときに家を出ていった父親など、家族に多くの問題を抱えています。シーズン1の途中からメンバーとなったスコッティ・ヴァレンズ(ダニー・ピノ)は、恋人を亡くした過去を持ち、ベテランのウィルもまた、妻をひき逃げ事故で亡くすという体験をしている。痛みを知り、苦しむ遺族や関係者の心情に寄り添うことができるからこそ、長い間、閉ざしていた彼らの重い口を開かせることができる。こうしたメンバーのキャラクター設定が、クライム・サスペンスに、人間ドラマとしての厚みを加えています。ウィルとヴェラという、愛嬌のあるベテラン2人のやりとりは、そうしたストーリーの中で、ふっとなごめるひとこま。
主役のリリーを演じた、透き通るような色白の女優キャスリン・モリスは、本シリーズがまさに出世作となりました。私生活でも、『コールドケース ザ・ファイナル』で共演したのがきっかけで、俳優ジョニー・メスナーと結婚。双子の男の子の母親になったというニュースも届きました。

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